[小説 時] [97 世話] |
97 世話
二年前、ヨット?・・・二年前、ねえ。・・・あの時かな?・・・ブームに頭をぶつけて、大騒ぎした、・・・あの時の、お嬢さん?ええ、そうです。あの時は大変ご迷惑をお掛けしました。 そうでしたね。思い出しましたよ。・・・二年振り、・・・もう、そんなになりますか。 その後、お変わりありませんか? ええ、お陰さまで相変わらずですよ。・・・お嬢さんも、同じもので良いですか? ありがとうございます。 そうですか。・・・この男は、肝心なことになると何も言ってくれないんで、・・・。実はね、・・・あの船、もう乗れないんですよ。・・・残念でしたけど、寿命でしたから処分してしまって、・・・。でも、近いうちに又新しい船を買おうと思ってるんです。今度は、もう少し小さいのを。何しろ、大きい船は人手が要るもんですからね。・・・そしたら、又ご一緒に如何ですか? その話は何時決まったんです? 今、急に、ね。 是非、お願いします。 今度は、あの時のように食事の支度をお願いしなくても済みそうですよ。何しろ、あの時の娘が来年はもう大学受験で、それも、船が手に入る頃には落ち着いているでしょうから、・・・。そうすれば、あなたにものんびりして貰えますよ、きっと。 楽しみにしています。 あなたの都合さえ付けば、何時でも連絡して下さいね。 良いんですか? この男には何時もお世話になってるんで、そう云う時位は何んとでもしますよ。・・・さあ、空いたようですよ。 どうして覚えていない振りなんかしたんですか? いけなかったかな? いえ、そう云うことはありませんが、・・・。 そう云う設定の方が、あの女も安心できるんじゃないかと思ったんだけどね。 そうですか。・・・気を遣って戴いて、ありがとうございます。 良いんだよ。 寄る心算はなかったんですが、気が置けないのは、結局、此処しかなかったものですから、・・・。 何時だって大歓迎さ。 -Feb/22/1998-
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